周辺確率分布とは
周辺確率分布とは、同時確率分布から一方の確率変数を消去した確率分布になります。例えば、X の周辺確率とは、他の事象に関係なく事象 X が起こる確率になります。
離散型確率変数において、周辺確率分布は次の式で表されます。
{\displaystyle P(X)=\sum _{y}P(X,Y)}
連続型確率変数において、周辺確率分布は次の式で表されます。
{\displaystyle f_(x)=\int_{y}f(x,y)\,\mathrm {d} y}
離散確率変数の周辺分布の例として、次のある小学校のクラスの男女の血液型の分布を使って説明します。
X\Y |
A 型 |
B 型 |
O 型 |
AB 型 |
男子 |
0.25 |
0.10 |
0.10 |
0.05 |
女子 |
0.20 |
0.20 |
0.05 |
0.05 |
このとき、次のように性別、血液型の合計の確率を計算することができます。
X\Y |
A 型 |
B 型 |
O 型 |
AB 型 |
計 |
男子 |
0.25 |
0.10 |
0.10 |
0.05 |
0.50 |
女子 |
0.20 |
0.20 |
0.05 |
0.05 |
0.50 |
計 |
0.45 |
0.30 |
0.15 |
0.10 |
1.00 |
これらの合計値が周辺確率になります。それぞれの周辺確率は次のようになります。
P(男子)=0.50 \\
P(女子)=0.50 \\
P(A型)=0.45 \\
P(B型)=0.30 \\
P(O型)=0.15 \\
P(AB型)=0.10
確率変数の独立性
確率変数 X と Y が互いに影響を与えないとき、X と Y は互いに独立であると言えます。独立性は同時確率が周辺確率の積で表すことができるかどうかで決まります。離散確率変数の場合と連続確率変数の場合のそれぞれについて説明します。
離散確率変数の場合
離散確率変数 X、Y が以下を満たすとき、X と Y は独立であると言えます。
例えば次のような確率変数 X と Y の同時確率分布があるとします。
X\Y |
1 |
2 |
3 |
0 |
0.10 |
0.10 |
0.20 |
1 |
0.20 |
0 |
0 |
2 |
0.10 |
0.10 |
0.20 |
周辺確率はそれぞれ以下になります。
P(X=0)=0.40 \\
P(X=1)=0.20 \\
P(X=2)=0.40 \\
P(Y=1)=0.40 \\
P(Y=2)=0.20 \\
P(Y=3)=0.40
したがって、P(X=0, Y=1) = 0.10、P(X=0)P(Y=1) = 0.16 より同時確率と周辺確率の積が一致しないため、X と Y が独立でないことが分かります。
連続確率変数の場合
連続確率変数 x、y の確率密度関数が以下を満たすとき、x と y は独立であると言えます。
例えば次の同時確率の確率密度関数があるとします。
f(x, y) = \left\{
\begin{array}{ll}
4xy & (0 < x < 1, 0 < y < 1) \\
0 & (otherwise)
\end{array}
\right.
0 < x < 1 において f(x) は次のようになります。
\begin{aligned}
f(x) &= \int^{1}_{0} f(x,y) \mathrm{d} y \\
&= \int^{1}_{0} 4xy \mathrm{d} y \\
&= 2x
\end{aligned}
よって f(x) は次のようになります。
f(x) = \left\{
\begin{array}{ll}
2x & (0 < y < 1) \\
0 & (otherwise)
\end{array}
\right.
同様に、f(y) は次のようになります。
f(y) = \left\{
\begin{array}{ll}
2y & (0 < y < 1) \\
0 & (otherwise)
\end{array}
\right.
したがって、0 < x < 1, 0 < y < 1 において、以下を満たすので x と y は独立であると言えます。
次に、次の同時確率の確率密度関数を考えます。
f(x, y) = \left\{
\begin{array}{ll}
x+y & (0 < x < 1, 0 < y < 1) \\
0 & (otherwise)
\end{array}
\right.
f(x)、f(y) はそれぞれ次のようになります。
f(x) = \left\{
\begin{array}{ll}
x + \frac{1}{2} & (0 < y < 1) \\
0 & (otherwise)
\end{array}
\right.
f(y) = \left\{
\begin{array}{ll}
y + \frac{1}{2} & (0 < y < 1) \\
0 & (otherwise)
\end{array}
\right.
0 < x < 1, 0 < y < 1 において、f(x,y) \neq f(x)f(y) であるため、 x と y は独立ではありません。