Amazon QuickSight とは
Amazon QuickSightとは、AWSが提供するフルマネージドのクラウド型BI(ビジネスインテリジェンス)サービスです。RedshiftやRDS、SaaSデータなどのデータソースに接続してデータ高速に分析・可視化したり、分析をダッシュボードとして公開・共有することが可能です。さらに、Amazon SageMakerと連携して機械学習を活用した異常検出や数値の予測など、より高度な分析を実行することも可能です。
接続可能なデータソース
QuickSightが接続可能なデータソースは次のとおりです。
- AWSサービス
- S3
- Athena
- RDS
- Aurora
- Redshift
- 外部データベース
- MySQL
- PostgreSQL
- ORACLE
- SQL Server
- MariaDB
- Presto
- Snowflake
- SaaS
- Salesforce
- Jira
- GitHub
- ServiceNow
- Teradata
- Spark
- Adobe Analytics
SPICE
QuickSightにはSPICEと呼ばれるインメモリ型の計算エンジンが内蔵されています。SPICEはSuper-fast、Parallel、In-memory Calculation Engineの略になります。データソースをSPICEにインポートすることで、分析やビジュアルを変更・更新のたびにデータソースへ直接クエリを発行する必要がなくなるため、クエリ速度の向上とやデータソースへの負荷低減にもつながります。
SPICEに取り込めるデータ容量はユーザー毎にデフォルトで10GBとなっており、ユーザー 1人あたり1GBのSPICE容量の無料枠が設けられています。SPICE容量に制限があるため、大きなデータを扱う場合は一部のデータはSPICEにロードして高速化を図り、SPICEに乗り切らない分のデータは直接データソースにクエリを投げることになります。
Edition
QuickSightにはStandardとEnterpriseの2つのEditionがあり、Enterprizeの方が機能が豊富です。また、Enterprise EditionにはStandard Editionにはない、AuthorとReaderというユーザー種別があります。Enterprize EditionのAuthorは、データセットやダッシュボードの作成を含む、QuickSightの機能をフルに活用できるユーザーになります。対してReaderはダッシュボードの閲覧・分析が可能です。Readerは1セッション(ログイン後30分)あたり$0.3の料金がかかり、最大で$5となります。つまり、全く利用しない場合は料金はかからず、どれだけ利用しても$5の料金となります。
以下、StandardとEnterpriseの料金比較になります。
Enterprize Edition | Standard Edition | |
---|---|---|
無料トライアル作成者 (30 日間) | 4 | 4 |
SPICE 搭載容量 | 10GB / ユーザー | 10GB / ユーザー |
Author(年間契約) | $18 | $9 |
Author(月) | $24 | $12 |
Reader(月) | $0.30 / セッション ~ 最大 $5 |
QuickSight の使い方
QuickSightの利用の流れは次のとおりです
- データソースに接続してデータセットを作成
- 作成したデータセットを元にデータを分析・可視化
- ダッシュボードとして分析を公開
データセットに接続
まずはデータソースを選択します。
例えば、Auroraを選択すると次のようなモーダルウィンドウが出てきますので、接続に必要な情報を入力してデータセットを作成します。
ここで注意点として、AWSのサービスに接続する場合は管理画面の「Security & permissions」の「QuickSight access to AWS services」項目に対象のAWSサービスを追加する必要があります。次のキャプチャでは、Amazon RDS、IAM、SageMakerがQuickSightに対するアクセスを許可しています。例えばS3をデータソースにしたい場合は、ここでS3のアクセスの許可を設定する必要があります。
カスタム SQL
データソースがDBの場合はSQLを発行して処理を行なった上でデータセット作成を作成することができます。
分析・可視化
分析・可視化ではデータのグラフィカル表現であるVisualを作成します。
データセットを作成後、データの分析や可視化を行います。QuickSightでは様々なVisualを作成することができます。以下は一例になります。
- 棒グラフ
- 線グラフ
- 円グラフ
- ヒートマップ
- ピボットテーブル
- ツリーマップ
- ポイントマップ
Visualの種類によっては作成要件が存在します。例えばポイントマップを作成するにはGeospatialなデータがデータセットに含まれている必要があります。また、VisualのタイプとしてAutoGraphというものがあり、このVisualタイプを選択するとQuickSightがグラフの軸の数字や型を元に自動で最適なVisualタイプを選択してくれます。
Visualは様々なカスタマイズが可能で、文字や背景の色を変更やフィルター機能、ドリルダウン機能を追加することもできます。
ダッシュボードとして分析を公開
完成したVisualはダッシュボードにPublishすることで、QuickSight上で他ユーザーがダッシュボードのデータを参照し、フィルタリングすることができます。また、次のようにHTMLとしてウェブにダッシュボードを埋め込むことができます。
<iframe
width="960"
height="720"
src="https://ap-northeast-1.quicksight.aws.amazon.com/sn/embed/share/accounts/1234567890412/dashboards/123c4ac7-1135-4a72-ba6e-e2e17a133333?directory_alias=demo"
>
</iframe>
データセットに計算フィールドを追加
QuickSightでは、データセットに計算フィールドを追加することができます。例えば、購買データで「価格」と「購入数」というカラムがあるとすると「価格」*「購入数」
の計算を行い、「合計金額」フィールドを追加することができます。
SageMaker モデル との統合
ライセンスがEnterprize Editionであり、SPICEに保存されているデータに対してSageMakerモデルによる推論を実行することができます。SageMakerとの統合の様子は次の記事が参考になります。
データセットの更新
データセットの更新は手動(コンソール,CLI)、もしくはスケジューリングで行うことができます。また、更新方法はフルリフレッシュか増分更新を選択できます。
QuickSight Q
QuickSight Qとは、NLQ(Natural Language Query)機能のことであり、日常の言語でデータに関する質問をすることで数値、グラフ、テーブルの形で質問に対する回答を得ることができます。例えば、「直近3年間の売上の推移は?」といった質問をすると、質問の自然言語処理が行われ、Visualizeされた質問結果が返されます。QuickSight Qは2021年9月23日に一般公開されました。
参考