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2022-10-09

QuickSightの概要

Amazon QuickSight とは

Amazon QuickSightとは、AWSが提供するフルマネージドのクラウド型BI(ビジネスインテリジェンス)サービスです。RedshiftやRDS、SaaSデータなどのデータソースに接続してデータ高速に分析・可視化したり、分析をダッシュボードとして公開・共有することが可能です。さらに、Amazon SageMakerと連携して機械学習を活用した異常検出や数値の予測など、より高度な分析を実行することも可能です。

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接続可能なデータソース

QuickSightが接続可能なデータソースは以下のとおりです。

  • AWSサービス
    • S3
    • Athena
    • RDS
    • Aurora
    • Redshift
  • 外部データベース
    • MySQL
    • PostgreSQL
    • ORACLE
    • SQL Server
    • MariaDB
    • Presto
    • Snowflake
  • SaaS
    • Salesforce
    • Jira
    • GitHub
    • ServiceNow
    • Teradata
    • Spark
    • Adobe Analytics

SPICE

QuickSightにはSPICEと呼ばれるインメモリ型の計算エンジンが内蔵されています。SPICEはSuper-fast、Parallel、In-memory Calculation Engineの略になります。データソースをSPICEにインポートすることで、分析やビジュアルを変更・更新のたびにデータソースへ直接クエリを発行する必要がなくなるため、クエリ速度の向上とやデータソースへの負荷低減にもつながります。

SPICEに取り込めるデータ容量はユーザー毎にデフォルトで10GBとなっており、ユーザー 1人あたり1GBのSPICE容量の無料枠が設けられています。SPICE容量に制限があるため、大きなデータを扱う場合は一部のデータはSPICEにロードして高速化を図り、SPICEに乗り切らない分のデータは直接データソースにクエリを投げることになります。

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Edition

QuickSightにはStandardとEnterpriseの2つのEditionがあり、Enterprizeの方が機能が豊富です。また、Enterprise EditionにはStandard Editionにはない、AuthorとReaderというユーザー種別があります。Enterprize EditionのAuthorは、データセットやダッシュボードの作成を含む、QuickSightの機能をフルに活用できるユーザーになります。対してReaderはダッシュボードの閲覧・分析が可能です。Readerは1セッション(ログイン後30分)あたり$0.3の料金がかかり、最大で$5となります。つまり、全く利用しない場合は料金はかからず、どれだけ利用しても$5の料金となります。

以下、StandardとEnterpriseの料金比較になります。

Enterprize Edition Standard Edition
無料トライアル作成者 (30 日間) 4 4
SPICE 搭載容量 10GB / ユーザー 10GB / ユーザー
Author(年間契約) $18 $9
Author(月) $24 $12
Reader(月) $0.30 / セッション ~ 最大 $5

QuickSight の使い方

QuickSightの利用の流れは以下のとおりです

  1. データソースに接続してデータセットを作成
  2. 作成したデータセットを元にデータを分析・可視化
  3. ダッシュボードとして分析を公開

データセットに接続

まずはデータソースを選択します。

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例えば、Auroraを選択すると以下のようなモーダルウィンドウが出てきますので、接続に必要な情報を入力してデータセットを作成します。

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ここで注意点として、AWSのサービスに接続する場合は管理画面の「Security & permissions」の「QuickSight access to AWS services」項目に対象のAWSサービスを追加する必要があります。以下のキャプチャでは、Amazon RDS、IAM、SageMakerがQuickSightに対するアクセスを許可しています。例えばS3をデータソースにしたい場合は、ここでS3のアクセスの許可を設定する必要があります。

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カスタム SQL

データソースがDBの場合はSQLを発行して処理を行なった上でデータセット作成を作成することができます。

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分析・可視化

分析・可視化ではデータのグラフィカル表現であるVisualを作成します。

データセットを作成後、データの分析や可視化を行います。QuickSightでは様々なVisualを作成することができます。以下は一例になります。

  • 棒グラフ
  • 線グラフ
  • 円グラフ
  • ヒートマップ
  • ピボットテーブル
  • ツリーマップ
  • ポイントマップ

Visualの種類によっては作成要件が存在します。例えばポイントマップを作成するにはGeospatialなデータがデータセットに含まれている必要があります。また、VisualのタイプとしてAutoGraphというものがあり、このVisualタイプを選択するとQuickSightがグラフの軸の数字や型を元に自動で最適なVisualタイプを選択してくれます。

Visualは様々なカスタマイズが可能で、文字や背景の色を変更やフィルター機能、ドリルダウン機能を追加することもできます。

ダッシュボードとして分析を公開

完成したVisualはダッシュボードにPublishすることで、QuickSight上で他ユーザーがダッシュボードのデータを参照し、フィルタリングすることができます。また、以下のようにHTMLとしてウェブにダッシュボードを埋め込むことができます。

<iframe
  width="960"
  height="720"
  src="https://ap-northeast-1.quicksight.aws.amazon.com/sn/embed/share/accounts/1234567890412/dashboards/123c4ac7-1135-4a72-ba6e-e2e17a133333?directory_alias=demo"
>
</iframe>

データセットに計算フィールドを追加

QuickSightでは、データセットに計算フィールドを追加することができます。例えば、購買データで「価格」と「購入数」というカラムがあるとすると「価格」*「購入数」の計算を行い、「合計金額」フィールドを追加することができます。

SageMaker モデル との統合

ライセンスがEnterprize Editionであり、SPICEに保存されているデータに対してSageMakerモデルによる推論を実行することができます。SageMakerとの統合の様子は以下の記事が参考になります。

https://towardsdatascience.com/integrating-aws-sagemaker-models-with-quicksight-acfe9e5e9cf1

データセットの更新

データセットの更新は手動(コンソール,CLI)、もしくはスケジューリングで行うことができます。また、更新方法はフルリフレッシュか増分更新を選択できます。

QuickSight Q

QuickSight Qとは、NLQ(Natural Language Query)機能のことであり、日常の言語でデータに関する質問をすることで数値、グラフ、テーブルの形で質問に対する回答を得ることができます。例えば、「直近3年間の売上の推移は?」といった質問をすると、質問の自然言語処理が行われ、Visualizeされた質問結果が返されます。QuickSight Qは2021年9月23日に一般公開されました。

参考

https://docs.aws.amazon.com/quicksight/latest/user/welcome.html
https://docs.aws.amazon.com/quicksight/latest/user/managing-spice-capacity.html
https://aws.amazon.com/quicksight/pricing/?nc1=h_ls
https://docs.aws.amazon.com/quicksight/latest/user/sagemaker-integration.html
https://towardsdatascience.com/integrating-aws-sagemaker-models-with-quicksight-acfe9e5e9cf1

Ryusei Kakujo

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Focusing on data science for mobility

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