生成AIが切り拓く未来:東大×生成AIシンポジウム 「生成AIが切り拓く未来と日本の展望」
AIに関する著名人のパネルシスカッションが東京大学で行われました。
ソフトバンク孫正義会長のAIの捉え方が刺激的でしたので、紹介します。
孫正義会長が見るAIの未来
大きなピクチャーでものを見て考えてみてください。
平均的な人間ともっとも賢い魚とどっちが賢いか。どんなに鍛えられた魚でも平均的な人間の脳細胞の活動には勝てないと思うんですね。じゃあ魚に中にはすごい賢いものがいるとか言う人がいるかもしれませんので、念のためにもう一つ聞きます。どんなに賢い、鍛えられた蝶々と平均的な人間と比べてどちらが賢いか。まさか蝶々の方が賢い、蝶々道具を使えるとか、蝶々は言葉を喋れるとかコンピューターを使えるとかいう人はいないと思うんですね。
人間の脳細胞のニューロンの数は魚のニューロンの数の何倍かと言うと、約1万倍です。蝶々と人類の差は約40万倍。100万倍に至らないぐらいの差ですね。基本的にニューロンの数と、その生命体が持っている知恵だとか知識の差というのはおおむね比例するんだろうと思うんですね。やはり脳細胞が複雑でたくさんあるからものを学んだり考えたりすることができるということだと思います。
今のGPT4はアメリカで少なくとも医学、法学、数学、物理学、科学において、いろいろな大学の入学試験でトップ10%レベルぐらいの上位で合格しているという状況であります。つまりほとんどの平均的な人類よりも、GPT4は大学にことごとく入学できる。まず僕は絶対医学とか法学とか同時に全部合格するということは間違いなくできないと思うんですね。全部の科目を合格できるだけの知恵だとか知識は僕は持ってませんけども、平均的な人はそうだと思うんですね。
GPT4が1の知恵の能力があるとして、今から10年後に何倍ぐらい増えるかというと、100万倍を超えると思います。つまり今のGPT4がすでに平均的人間のレベルの入学試験に通るレベルということは、平均的人間のレベルを同等ぐらい、あるいはそれ以上あるとして、そこから100万倍になるのがたった10年かからずしてなる。
僕は今もう断言できます。なぜなら具体的に様々見てるからですね。10年以内に100万倍になるとつまり人間と蝶々以上の差になると、さらにその10年後にはその1000倍ぐらいには少なくとも行くでしょう、ということは1兆倍になるということですね。100万倍の1000倍、1兆倍の差がついたらもはやAIは人間より賢いのかとかどの分野で人間はAIより賢いのかとかそういう議論をすることがそもそも虚しくなるぐらい圧倒的差になるということであります。
人間は今まで地上で一番賢い動物だったんですけれども、そうでなくなる時代が来ると。その時に果たして人間の幸せとは何か人間の仕事とは何かと、調和とは何か、平和とは何かと、そういうようなことを根底から考え直す。そういうテーマを我々はまさに議論し始める、そういう必要もある時期が来たというふうに思います。
そして今は2021年の9月までしか学んでませんというだから、それ以上のトレーニングされてないからそれ以上に新しいことについてはコメントできないというのがGPTの現在の注意書き的なことであるんですけども、リアルタイムでトレーニングすべき重要なニュースだとか、株価だとか、天気だとか、そういうようなものについては少なくともリアルタイムでトレーニングされる時代が来て、かつ今のGPTのプラットフォームよりも100万倍ぐらいのチップの数になると、まさにAGI(汎用人工知能)の世界をやってくる。
つまりAGIというのは全ての質問に対して、少なくとも人類代表の一番の人よりも的確に答えられるとするならば、利活用できないことの方が逆に少ないんじゃないかと思います。AGIイコール水晶玉だと思えばいいと思うんですね。水晶玉に明日の何々はどうなりますか、今の悩みはどう解決したらいいですか、ということを聞いた時にほとんどのことに的確に答えてくれる。こういうAGIの世界が10年以内にやってきたとしたならば、ほとんどのことに利活用できる。何に利活用できるかではなくてほとんどに利活用するのが有益な時代が来るというふうに僕は思います。
参考