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2023-03-14

コストベースオプティマイザ (CBO)

コストベースオプティマイザ(CBO)とは

データベースのコストベースオプティマイザ(CBO)は、SQLクエリを実行するための効率的な方法である実行計画を考案するための重要なコンポーネントです。CBOは、データベースがクエリ処理中に最高のパフォーマンスを発揮するように、さまざまな戦略と要素を使用して最適な実行計画を導き出します。

効率的な実行計画の原則

効率的な実行計画を作成するために、CBOは最新の統計情報に重点を置いています。これには、クエリで使用されるテーブル、インデックス、およびその他のデータベース構造に関するデータが含まれます。さまざまな可能性を評価することで、CBOは各計画の「コスト」(効率の尺度)を計算し、もっともコストの低い計画を選択します。

インデックスとデータ量の役割

コストベースオプティマイザのプロセスでは、インデックスやデータ量などの情報が重要な役割を果たします。最適化プログラムはインデックスを使用してデータの取得を高速化し、データ量は実行計画が処理する必要のあるデータ量の文脈を提供します。これらの要素を深く理解することで、CBOは実行計画を構築する際により効果的な判断ができます。

CBOにおける統計情報

CBOは効果的に機能するためにさまざまな統計情報が必要です。このような統計情報の例には、列のデータ型、データのボリューム、レコードの数、テーブルに存在するインデックスや制約、データのばらつきを示すカーディナリティなどがあります。

列のデータ型、データボリューム、およびレコード数

列のデータ型、データボリューム、およびレコード数は、効率的な実行計画の作成に寄与する重要な統計情報です。例えば、列のデータ型を知ることは、最適化プログラムが適切な操作を選択するのに役立ちます。データボリュームとレコード数を理解することで、データの読み取りと処理のコストを推定するのに役立ちます。

インデックス、制約、およびカーディナリティ

インデックスと制約は、クエリのためのアクセスパスに影響を与える重要な要素です。例えば、最適化プログラムはデータアクセスを高速化するためにインデックスを使用でき、制約は結合順序の選択に影響を与えることができます。さらに、カーディナリティ(データの一意性)も異なる操作のコストを決定する上で重要な役割を果たします。

統計情報の収集

自動収集と手動収集

テーブルの統計情報は、データベースシステムによって自動的に収集されることが一般的です。この自動化プロセスにより、最適化プログラムはクエリの最適な実行計画を策定するために最新の統計情報を持つことが保証されます。

ただし、データのボリュームが急増した場合など、自動収集プロセスがデータの最新の変更を反映しない場合があります。そのような場合は、統計情報の手動収集が必要になります。

手動収集が必要な状況

データのボリュームの大幅な増加やデータの分布の変更がある場合、統計情報の手動収集が必要になることがあります。統計情報を手動で更新することで、最適化プログラムはデータの最新の状態に基づいて効率的な実行計画を効果的に策定できるようになります。

MySQLおよびPostgreSQL: 統計情報の収集と表示のコマンド

MySQLとPostgreSQLの両方で、統計情報を収集および表示するための特定のコマンドを使用できます。コマンドはデータベースによって異なる場合があります。

統計情報の収集のコマンド

MySQLでは、ANALYZE TABLEコマンドを使用してテーブルの統計情報を手動で収集できます。以下に例を示します。

sql
ANALYZE TABLE テーブル名;

このコマンドは指定したテーブルのキーの分布を更新します。出力例として、次のようなものが表示されます。

+----------------+---------+----------+----------+
| Table          | Op      | Msg_type | Msg_text |
+----------------+---------+----------+----------+
| your_database.your_table_name | analyze | status   | OK       |
+----------------+---------+----------+----------+

PostgreSQLでは、同様の目的でANALYZEコマンドを使用できます。

sql
ANALYZE your_table_name;

このコマンドはユーザーに出力を返さず、システムカタログ内のテーブルの統計情報を更新します。

テーブルの統計情報の表示コマンド

MySQLでは、SHOW TABLE STATUSコマンドを使用してテーブルの統計情報を表示できます。

sql
SHOW TABLE STATUS LIKE 'your_table_name';

これにより、指定したテーブルの情報が表示されます。行数、データ長さ、インデックス長さなどが含まれます。

PostgreSQLでは、次のクエリを使用してテーブルの統計情報を表示できます。

sql
SELECT * FROM pg_stat_user_tables WHERE relname = 'your_table_name';

これにより、指定したテーブルの情報が表示されます。シーケンシャルスキャンとインデックススキャンのカウント、挿入された行数、更新された行数、削除された行数などが含まれます。

インデックスの統計情報の表示コマンド

MySQLでは、SHOW INDEXコマンドを使用してインデックスの統計情報を表示できます。

sql
SHOW INDEX FROM your_table_name;

このコマンドは指定したテーブルの全てのインデックスとその特性のリストを返します。

PostgreSQLでは、次のコマンドを使用してインデックスの統計情報を表示できます。

sql
SELECT * FROM pg_stat_user_indexes WHERE relname = 'your_table_name';

これにより、指定したテーブルのインデックスに関するさまざまな詳細が表示されます。インデックススキャンの回数、読み取った行数、取得した行数などが含まれます。

実行計画

実行計画は、SQLデータベースがデータを取得するために使用する詳細なロードマップです。実行計画は、SQLクエリを実行するためにデータベースが使用する具体的な手順と操作の順序を説明します。実行計画の生成は、コストベースオプティマイザが担当しています。

EXPLAIN SQL文の使用

EXPLAIN SQL文は、実際にクエリを実行せずにSQLクエリの実行方法を理解するための強力なツールです。SQLクエリの前にEXPLAINを付けることで、データベースはクエリを実行するために使用する実行計画の表現を返します。これはパフォーマンスの問題をトラブルシューティングする際に非常に役立ちます。遅いクエリを実行せずにデータベースがどのような手順を踏むかを確認することができます。

sql
EXPLAIN SELECT * FROM your_table;

出力には、フルテーブルスキャンまたはインデックススキャンなど、クエリの実行に関与する手順が表示されます。

EXPLAIN ANALYZE文の使用

EXPLAIN ANALYZEは、EXPLAINコマンドの変種であり、クエリを実行し、実行時間やクエリの各ステップで実際に処理された行数などの追加の実行統計情報を提供します。このコマンドはクエリの実際のコストを確認するのに非常に役立ちます。

sql
EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM your_table;

出力には、計画された操作と実際の実行時間や処理された行数が含まれます。

実行計画の解釈

  • カーディナリティ
    カーディナリティは、データセットまたは列内の一意の値の数を指します。実行計画では、カーディナリティは各操作が取得する行数の目安を示すことがあります。カーディナリティが高いと、一意の値の数が多いことを意味し、より効率的なインデックスの使用が期待できます。

  • 実行時間(実行時間)
    EXPLAIN ANALYZEコマンドの結果から、クエリの各ステップの実際の実行時間がわかります。この情報は、実行計画のボトルネックを特定するのに役立ちます。

  • アクセス方法
    実行計画では、データにアクセスするためにデータベースが使用する方法も詳細に示されます。これは、テーブルの全ての行を読み取るフルテーブルスキャンや、インデックスを使用して必要な行を迅速に特定するインデックススキャンなどです。

  • 結合方法と順序
    クエリに複数のテーブルの結合が含まれる場合、実行計画には結合方法(ハッシュ、ソートマージ、ネストループなど)とテーブルの結合順序も詳細に示されます。結合方法と順序の選択は、クエリの効率に重要な影響を与えることがあります。

  • パーティショニング
    テーブルがパーティショニングされている場合、実行計画にはクエリがこのパーティショニングをどのように利用するかが表示されることがあります。パーティショニングは、スキャンする必要があるデータ量を減らすことで、クエリのパフォーマンスを向上させることができます。

Ryusei Kakujo

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Focusing on data science for mobility

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