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2023-03-31

PythonのTypeVar

TypeVarとは

TypeVar(Type Variable)は、Pythonのtypingモジュールにある強力な機能で、柔軟性が高く動的な型ヒントを作成できます。これにより、型の安全性を維持しながら汎用的な関数やクラスを作成し、コードの再利用が可能となります。TypeVarは、複数の型で動作する関数やクラスを定義し、それらの型にいくつかの制約を課す必要がある場合に特に有用です。

TypeVarを作成するには、まずtypingモジュールからインポートする必要があります。

python
from typing import TypeVar

そして、一意な名前を指定してTypeVarを定義します。

python
T = TypeVar("T")

この例では、Tは汎用型を表し、TypeVarが使用されたときに任意の型に置換できます。

TypeVarの制約と境界

TypeVarを定義する際に、制約や境界を指定することができます。これにより、TypeVarに代入できる可能性のある型を制限することができます。

制約を設定するには、TypeVarの定義に1つ以上の型を指定します。

python
U = TypeVar("U", int, float)

この場合、 Uintまたはfloatのどちらかに置き換えることができます。

境界を設定するには、 bound引数を使用します。

python
from typing import List
V = TypeVar("V", bound=List)

ここでは、 VListのサブクラスである任意の型になります。

汎用関数の型ヒント

汎用関数は、複数の種類の引数で動作する関数で、型の安全性を維持します。汎用関数を作成するには、TypeVarを使用して関数の引数と戻り値の型を表現することができます。

単純な恒等関数の例を紹介します。

python
def identity(x: T) -> T:
    return x

ここでは、 Tは任意の型を表すTypeVarです。恒等関数は、型Tの単一の引数xを受け取り、同じ型Tの値を返します。

TypeVarを活用した柔軟な型制約

TypeVarを使用して、汎用関数でより複雑で柔軟な型制約を作成することができます。例えば、2つの引数を受け取ってその合計を返す関数を考えてみます。この関数は整数と浮動小数点数の両方で動作する必要がありますが、混在した型では動作しない必要があります。

python
from typing import TypeVar, Union

Number = TypeVar("Number", int, float)

def add(x: Number, y: Number) -> Number:
    return x + y

この例では、TypeVar Numberintfloatの制約を持って定義されています。 関数addは、型Numberの2つの引数を取り、同じ型の値を返します。これにより、関数は整数と浮動小数点数の両方で動作することが保証されますが、混在した型では動作しません。

汎用関数でのTypeVarの実践的な例

TypeVarを使用した汎用関数の実践的な例を紹介します。

リスト内のアイテムのインデックスを検索する汎用関数

python
from typing import List, Optional, TypeVar

T = TypeVar("T")

def find_index(items: List[T], target: T) -> Optional[int]:
    for i, item in enumerate(items):
        if item == target:
            return i
    return None

この例では、 find_index関数は、型Tのアイテムのリストと同じ型Tの目標アイテムを引数に取ります。リスト内で目標アイテムのインデックスを返します。アイテムが見つからない場合は、Noneを返します。

2つの辞書をマージする汎用関数

python
from typing import Dict, TypeVar

K = TypeVar("K")
V = TypeVar("V")

def merge_dicts(dict1: Dict[K, V], dict2: Dict[K, V]) -> Dict[K, V]:
    result = dict1.copy()
    result.update(dict2)
    return result

この例では、 merge_dicts関数は、キーが型Kで値が型Vの2つの辞書を引数に取ります。両方の入力辞書からキーと値のペアをマージし、新しい辞書を返します。

参考

https://docs.python.org/3/library/typing.html#typing.TypeVar
https://dev.to/decorator_factory/typevars-explained-hmo

Ryusei Kakujo

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